<リトル・ツリー>の誕生 No.2


 最初の試作品カーフレッシュナ−<ロイヤル・パイン>は「牛乳の臭いが車内に残ってかなわん!」といつも愚痴を言っていた牛乳配達の人にあげました。しかし,これは香りがあまりに強すぎたため失敗で,香りの調整が必要でした。

 その当時は車の修理工場の2階を借りての仕事でした。そして修理工場のオーナーが香りをしみ込ませ,オーナー婦人がセロハンに包み,彼がそれを閉じる作業をしたのです。

 最初は地元ウォータータウンの車修理工場やガソリンスタンドで売りましたが,それがとても良く売れたのでいよいよ本格的な営業計画を立てることになりました。

 そしてまず大型の車修理工場やホールセーラーにサンプルとセールスレターを送ったところ,机の上が注文書の山となったのです。それから問題はセールスではなく製造が追いつくかどうかに変わりました。

・・これがリトル・ツリーの誕生物語です。

正式に発売したのが1952年ですから,既に世界初の車用芳香剤として誕生して50年以上が経ち,今やアメリカでは知らない人がいない,世界でもっとも有名な芳香剤となったのです。

 リトルツリーは驚くほど沢山の映画に登場していますが,何といってもその存在が強烈にアピールされたのはブラッド ピット主演の<セブン>です。

 リトルツリーを知らない人にはあれだけ沢山ぶら下がっていても何の意味があるか分からなかったと思いますが,アメリカ人が見れば死臭(実際は生きていましたが)を隠すためにツリーがぶら下がっている<イコール>すごい臭いがしていることが誰にでも分かるのです。

 それだけ認知度が高く,ウナギの蒲焼きの映像を見れば臭いが蘇ってよだれが出るのと同じく,ツリーが画面に出れば臭いのイメージが浮かぶほど,彼らの生活に密着し頭脳に刷り込まれているのです。

 なお,<セブン>の撮影の時は香りの付いていないリトルツリーを依頼されて別注で作ったそうです。

 シアトル出身の伝説のバンド<ニルバーナ>のカート・コバーンがステージでリトルツリーをペンダント代わりにぶら下げて演奏しているライブ映像や沢山の映画,ドラマ,ニュース等の映像をコマ切れですがDVDにまとめたものがあります。興味のある方はご一報を!